デザイン脳を開く 建築の発想法/宮宇地一彦

たまにはウェブとは違った視点からデザインを考えようと、図書館の建築コーナーで見つけた本。

アイデアは記憶から生まれる
イメージによる記憶
・自分の五感を通して得られた「外界の刺激の記憶」
・視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚
・筋肉感覚、温湿度感覚、痛快の感覚、歩行感覚、動作感覚
・現場でしか得られない感覚
コトバによる記憶
・基底にはイメージ記憶がある。
・モノには名前がある

世界を分節し命名する
モノに名前をつけるためには
→ 要素に分けられ、部位間に機能的な差異があり、全体としてひとつの集合をなしている

実証科学では分析を通して生物を理解することはできるが生命を把握することは出来ない。
実在の把握は直感を通してのみである。

活きた概念=実際に体験し言葉に表す

脳の4つの働き「目で見る脳」
1.生きている
 反射、調節活動・・・脳幹、脊髄系
2.たくましく生きていく
 本能、情動行動・・・大脳辺縁系
3.うまく生きていく
 適応行動・・・新皮質系
4.よく生きていく
 創造行動・・・新皮質系

考える道筋
演繹:約束事を学び、応用してデザインする(国算理社)
帰納:自分の約束事を発見してデザインする(図工体育作文)
仮説設定:一般性のある約束事を発見してデザインする(自由研究)

デザイン脳
アイデアは最終的にイメージとコトバで表現される
 イメージ表現:スケッチ
 コトバ表現:コンセプト
考える道筋=論理には3つある
 演繹:約束事から発想する
 帰納:五感から発想する
 仮説設定:ひらめきで発想する

約束事から発想する
1.既存の約束事を学ぶ
2.約束事をもとに自分なりに応用
3.応用法を用いて新しいことを発想する
五感から発想する
1.五感体験をして具体的なイメージを蓄える
2.豊富なイメージ記憶をもとに自分の約束事をつくる
3.自分の約束事から新しいアイデアを発想する
ひらめきで発想する
1.乗り越える対象としての約束事を学ぶ
2.五感体験をして具体的なイメージを蓄える
3.既存の約束事と自分のイメージ記憶をもとに新しい仮説をつくる
4.仮説を使って新しいデザインを発想する

手はもう一つの脳
ラフ、スケッチを手書きすることも脳とは別に考える方法となる。

コトバ(らしいもの)で発想する
コトバらしいもの
記号論
身振り、贈り物、花言葉など、コトバらしいものを使って行われるコミュニケーションの局面を明らかにする。
 意味論:記号がどのような意味を持っているか。
 統辞論:同じコトバでも文法的な位置を変えると意味が変わることがある。こうした記号と記号の結合関係のこと。
 実用論:記号が実際にどのようにつかわれているか

単語:部品
文節:組み合わせ
文法:構成

デザインの目的は「形」にあるのではなく、形から得られる「経験」にある
「好き」のもとになっている「質・クオリティ」「量」「性能」のバランス

不立文字
考えるときコトバを使うな。イメージだけで考える。

感想
デザインするということは五感や身体、知識や体験を総動員して行うもの。
建築について茶室、書院造り、数奇屋造りの本も読んでみたい。

【関連書籍】
生の哲学
不思議な建築―甦ったガウディ
パースの記号学
記号論への招待 (岩波新書)
形の合成に関するノート

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA